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動画制作のRFP(提案依頼書)...
発注・見積もり
著者:庄司 優 公開日:2026/7/28 23:00
動画制作のRFP(提案依頼書)の書き方|制作会社に伝えるべき10項目と依頼前チェックリスト

動画制作を外注するとき、「何をどこまで伝えれば、目的に合った提案が届くのか」と迷う担当者は少なくありません。採用動画、会社紹介動画、サービス紹介動画などは、同じ「動画制作」でも必要な企画、撮影体制、表現、納品形式が異なります。依頼内容が曖昧なまま複数社へ声をかけると、各社の前提がそろわず、見積もりや企画を公平に比較できません。
そこで役立つのが、RFP(Request for Proposal/提案依頼書)です。本記事では、企業の人事・広報・採用担当者が動画制作会社へ相談する前に整理したい項目を、実務で使える形で解説します。完成された企画書を用意する必要はありません。社内で決まっていること、決まっていないこと、制作会社に提案してほしいことを切り分けるのがポイントです。
この記事でわかること
RFPを作る目的と社内調整での使い方
制作会社に必ず伝えたい10項目
企画と見積もりを比較しやすくする判断軸
そのまま流用できるRFPの骨子
動画制作のRFPとは
動画制作のRFPとは、制作会社に企画や見積もりを依頼する際、プロジェクトの背景、目的、条件、提案してほしい内容をまとめた文書です。名称は「提案依頼書」でなくても構いません。WordやGoogleドキュメント、スライドなど、関係者が確認しやすい形式で十分です。
RFPは、制作会社に完成形を細かく指示するための仕様書ではありません。むしろ「解決したい課題は何か」「誰に、どのような変化を起こしたいか」という判断軸を共有し、制作会社の知見を引き出すための土台です。映像の尺や構成を先に固定しすぎると、より適した方法を提案できる余地が小さくなることもあります。
RFPを作る3つのメリット
1つ目は、提案の比較軸がそろうことです。同じ目的、納期、制作範囲を各社に伝えれば、見積もりの対象や企画意図を確認しやすくなります。単純な総額だけではなく、「どこまで含まれているか」を比べられます。
2つ目は、認識違いを減らせることです。撮影場所の手配、出演者との調整、字幕、縦型への再編集などは、発注側と制作側のどちらが担当するかで進行が変わります。初期段階で役割を明記しておくと、後から追加対応が必要になるリスクを抑えられます。
3つ目は、社内合意を作りやすいことです。人事は採用成果、広報はブランドとの整合、法務は権利処理など、部門ごとに重視する点が異なります。制作会社へ依頼する前にRFPを回覧することで、目的や確認フローを早めにそろえられます。

曖昧な依頼と比較しやすいRFPの違い
項目 | 曖昧な依頼 | 比較しやすいRFP |
|---|---|---|
目的 | 会社紹介動画を作りたい | 採用候補者が仕事内容を具体的に理解できる状態を目指す |
対象 | 若い人 | 職種・検討段階・視聴場面まで示す |
納品物 | 動画一式 | 本編、短尺版、字幕、サムネイルなどを分ける |
見積条件 | お任せ | 撮影日数、修正回数、権利条件などの前提を明記する |
制作会社に伝えるべき10項目
1.プロジェクトの背景と課題
なぜ今、動画が必要なのかを説明します。「新卒採用サイトを刷新する」「展示会でサービスの仕組みが伝わりにくい」など、動画制作に至った経緯を書きます。動画を作ること自体ではなく、解決したい課題を主語にしてください。
2.目的と期待する行動
視聴後に相手へどのような行動を取ってほしいかを決めます。応募、問い合わせ、資料請求、社内理解の促進など、目的によって構成や導線は変わります。効果測定を行う場合は、視聴数だけでなく、動画を掲載するページや次の導線も含めて考えます。
3.ターゲット
「求職者」「法人顧客」だけでなく、職種、検討段階、抱えている疑問、動画を見る場面まで整理します。採用動画なら、会社を初めて知った学生と、選考中で働き方を詳しく知りたい候補者では必要な情報が異なります。ターゲットを一人に絞れない場合は、優先順位を示します。
4.伝えたいメッセージと根拠
視聴者に最も持ち帰ってほしい内容を一文で表します。そのうえで、社員の言葉、業務風景、製品の実演、既存資料など、メッセージを裏付けられる事実や素材を挙げます。まだ確認できていない数字や表現は、事実として書かず、社内確認が必要な項目として扱います。
5.掲載先と必要な納品形式
コーポレートサイト、採用サイト、YouTube、SNS、営業資料、イベント会場など、想定する掲載先をすべて伝えます。横型・縦型・正方形、長尺版・短尺版、字幕の有無、サムネイル、静止画の切り出しなど、必要な派生物も記載します。掲載先が未定なら、その点も明示して提案を求めます。
6.制作範囲と役割分担
企画、構成、台本、キャスティング、ロケ地
、撮影許可、ヘアメイク、編集、ナレーション、BGM、字幕、翻訳など、必要になりそうな作業を並べます。自社が担当できる作業と、制作会社へ任せたい作業を分けてください。社員出演の場合は、候補者の選定や日程調整の担当も重要です。
7.スケジュールと社内確認フロー
希望公開日だけでなく、撮影可能時期、初稿確認、修正、最終承認の期限を記載します。社内で確認する部門と決裁者、確認に必要な日数も共有すると、現実的な工程を組みやすくなります。公開日が動かせない場合は、その理由と優先度を明記します。
8.予算の考え方と見積条件
予算が決まっている場合は上限や想定範囲を伝え、未確定なら複数のプランを依頼します。見積もりでは、撮影日数、スタッフ体制、機材、交通、出演、音源、修正回数、追加納品物など、前提条件の記載を求めましょう。各社の見積項目を完全に同じ名称にする必要はありませんが、含まれる範囲を確認できる状態にします。
9.提案してほしい内容と選定基準
企画案、体制、スケジュール、見積もり、類似ジャンルの制作経験など、提出してほしい内容を指定します。また、企画の妥当性、担当者との進めやすさ、運用への配慮など、社内で重視する選定基準も伝えます。実績を見るときは、知名度だけでなく、自社の目的に近い課題へどう対応したかを確認します。
10.権利・安全・アクセシビリティの条件
映像や静止画の利用期間・媒体、出演者の許諾、BGMや素材の利用条件、元データの扱いを確認します。撮影場所の機密情報、社員や顧客の個人情報、公開前情報が映り込む可能性も整理してください。必要に応じて字幕、音声がなくても伝わる設計、読みやすい文字サイズなどの条件も共有します。
そのまま使えるRFP骨子テンプレート
案件名と担当部署
プロジェクトの背景と現在の課題
動画で達成したい目的と視聴後の行動
最優先ターゲットと視聴場面
伝えたいメッセージと利用できる根拠・素材
掲載先、希望尺、画面比率、必要な派生物
依頼したい制作範囲と自社の担当範囲
希望公開日、撮影可能日、社内確認フロー
予算の考え方と見積もりに含めてほしい項目
提出してほしい提案内容と選定基準
出演・音源・素材・二次利用などの権利条件
未決定事項と制作会社に提案してほしい論点
RFP作成の進め方
最初に、担当者が上の10項目を「決定済み」「未決定」「提案希望」の3つに分類します。次に、関係部門へ回覧し、目的、ターゲット、公開日、承認者だけは優先して合意します。細部まで決めきれない場合は、無理に埋めず、制作会社との打ち合わせで決めたい論点として残します。
複数社へ依頼するときは、同じRFPと質問受付の期限を共有します。質問への回答が提案条件に影響する場合は、各社へ同じ情報を伝えると比較がしやすくなります。提出後は、見積総額だけでなく、目的への理解、企画の理由、体制、スケジュール、権利条件を並べて確認します。
よくある失敗と防ぎ方
よくあるのは、「かっこいい動画」「若者に刺さる動画」のように、評価基準が人によって変わる言葉だけで依頼することです。参考動画を示す場合は、映像全体を再現してほしいのか、テンポ、色、インタビューの見せ方など一部を参考にしたいのかを説明します。
また、尺だけを先に決め、掲載先や視聴状況を伝えないケースもあります。同じ60秒でも、展示会で音声なしで見る動画と、採用サイトでじっくり見る動画では設計が違います。尺は目的と視聴環境から提案してもらう選択肢も残しましょう。
依頼前チェックリスト
動画を作る背景と解決したい課題を説明できる
最優先のターゲットと視聴場面が決まっている
視聴後に期待する行動が明確になっている
掲載先と必要な動画サイズ、派生物を整理した
発注側と制作会社の役割分担を確認した
公開日から逆算した社内確認日を確保した
見積もりに含めてほしい範囲を伝えた
提案の選定基準と決裁者を社内で共有した
出演、音源、素材、二次利用などの権利条件を確認する
未決定事項を隠さず、提案してほしい論点として記載した
まとめ
動画制作のRFPで大切なのは、完成形を発注側だけで決めることではなく、目的と条件をそろえたうえで制作会社から適切な提案を引き出すことです。背景、ターゲット、掲載先、役割分担、確認フローまで共有できれば、企画と見積もりの比較がしやすくなり、制作開始後の認識違いも減らせます。
まずは本記事の10項目を使い、「決定済み」「未決定」「提案希望」を整理してみてください。未完成でも判断材料が明確なRFPは、発注担当者と制作会社の双方にとって、良い動画づくりを始めるための実用的な地図になります。

よくある質問
動画制作のRFPに決まった書式はありますか?
決まった書式はありません。Word、Googleドキュメント、スライドなど、関係者と制作会社が確認しやすい形式で構いません。重要なのは、目的・ターゲット・掲載先・制作範囲・納期・予算条件・選定基準を同じ前提で共有することです。
予算が未定でもRFPを作れますか?
作れます。予算を「未定」と明記し、目的を達成するための複数プランと、費用が変わる条件を提案してもらいます。撮影日数、スタッフ体制、修正回数、納品形式など、見積もりの前提も確認してください。
複数の制作会社へ同じRFPを送るべきですか?
企画と見積もりを比較する場合は、各社へ同じRFP、質問期限、回答情報を共有します。総額だけでなく、目的への理解、制作範囲、体制、権利条件まで並べて判断することが重要です。




