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動画制作の社内企画書の作り方|...
企画・構成
著者:庄司 優 公開日:2026/8/17 00:00
動画制作の社内企画書の作り方|稟議・合意形成に必要な7項目

企画書づくりで、こんな会話が続いていませんか?
「会社紹介の動画を作りたい」「採用にも使えるようにしたい」。会議の冒頭では、たいてい誰も反対しません。ところが、制作を進めると営業はサービス説明を増やしたい、採用は社員の声を入れたい、経営はブランドらしさを見せたいと言い始めます。どの意見も大切だからこそ、優先順位が決めにくく、構成案を見直す場面が増えがちです。
そんなときに役立つのが、見栄えだけに頼らない企画書です。関係者が「この動画で、誰に、何を判断してもらうのか」を同じ言葉で確認できる企画書です。企画書は制作会社に指示を出すためだけの資料ではなく、社内の意思決定を前に進めるための道具です。
この記事では、企業の広報・採用・営業企画の担当者が、動画制作を初めて主導する場面を想定し、社内合意をつくる企画書の書き方を実務順に解説します。読み終えたら、次の会議でそのまま使える確認表と依頼文の土台が残る構成です。
企画書づくりを始める前に、整理したい「3つの質問」
「まず3つ決めましょう」と言われても、最初は少し戸惑いますよね。企画書を書く前に、次の三つの質問へ具体的に答えてください。この回答が、構成・予算・撮影体制の判断基準になります。
質問1:視聴者に、視聴後どんな行動をしてほしいのか?
「認知を広げる」は目的として広すぎます。営業動画なら「初回商談の前に、提供価値を理解して問い合わせの論点を整理してもらう」。採用動画なら「応募前に仕事の実態を想像し、自分に合うか判断してもらう」。展示会動画なら「ブース前で足を止め、担当者に質問してもらう」。このように、視聴後の行動まで書きます。
目的を一文にすると、会議中に出る要望を判断できます。たとえば「会社沿革を入れたい」という意見が出たとき、その情報が視聴後の行動につながるかを考えられます。目的に寄与しないなら、別のページや資料に分ける選択ができます。
質問2:誰が、どの場面で、どれくらいの時間を見るのか?
「採用候補者」や「見込み顧客」だけでは足りません。初めてサイトを訪れた人なのか、比較検討中なのか、営業担当の説明と一緒に見るのかを分けます。視聴場面が変われば、必要な情報の順番も長さも変わります。
サイトのトップやSNS:最初の数秒で対象者と価値を伝え、詳細へ誘導する。
営業資料・商談前:相手の課題、解決の考え方、信頼できる根拠の順に不安を解消する。
採用ページ:仕事内容、働き方、向いている人を具体的にし、応募前の認識差を減らす。
展示会:音が聞こえない前提で、画面と字幕だけでも理解できるようにする。
質問3:今回の動画で「まず伝えたいこと」と「伝えないこと」は何か?
情報を増やすだけでは、理解は深まりません。一本で残すメッセージを一つ決め、根拠を二〜三点に絞ります。同時に、未公開情報、顧客名、案件固有の数値、誤解を招く表現など、扱わない情報も書き出してください。企画の精度は、入れる情報だけでなく、入れない情報を決めることで上がります。
社内合意を取る企画書の基本構成
企画書は、詳細な台本から始めません。まず判断に必要な前提をそろえ、構成案はその後に置きます。次の順番にすると、決裁者、現場、制作側がそれぞれ必要な項目を確認しやすくなります。
項目 | 企画書に書く内容 | 会議で確認する相手 |
|---|---|---|
背景と課題 | いま何が起きていて、動画でどの課題を減らすのか | 起案者・責任者 |
目的 | 視聴後に期待する具体的な行動 | 決裁者 |
視聴者と場面 | 属性、検討段階、視聴時間、掲載先 | 営業・採用・Web担当 |
伝える内容 | 必須メッセージ、根拠、使わない情報 | 現場の事実確認者 |
構成案 | 冒頭・中盤・結びで答える疑問 | 制作担当・監修者 |
制作条件 | 撮影日、出演者、素材、確認フロー | 進行担当 |
公開後 | 掲載先、二次利用、見る指標、改善担当 | 運用担当 |
構成案は「台本」ではなく、判断のための地図にする
企画段階でナレーション原稿を完成させる必要はありません。先に決めるべきなのは、視聴者の頭の中で生まれる疑問に、どの順で答えるかです。BtoBの紹介動画なら、次の骨組みが基準になります。
冒頭:「これは自分に関係がある」と分かる課題・対象者を示す。
中盤前半:提供する価値を一文で伝え、何が変わるのかを示す。
中盤後半:公開できる事実、プロセス、担当者の考え方で根拠を置く。
結び:詳しい情報を見る、相談する、次の資料を受け取るなど、次の行動につなげる。
「会社について全部伝える」構成は、情報量が多くても印象に残りません。今回の視聴者が最初に解消したい疑問を一つ選び、そこから話を始めます。沿革、サービス一覧、代表メッセージ、実績などは、目的に応じて別コンテンツへ振り分けます。
一次情報を使って、一般論で終わらせない
企業動画の説得力は、一般的な表現ではなく、現場に根ざした具体的な言葉から生まれます。ただし、顧客名、案件名、未公開の数値、個人が特定される事情を使う必要はありません。公開可能な範囲で、現場が繰り返し受ける質問、判断の基準、説明時に誤解されやすい点を聞き取れば、十分に一次情報になります。
ヒアリングでは「強みは何ですか?」と聞くだけでは、抽象的な言葉になりがちです。次のように、場面と判断を聞いてください。
初めて相談する人は、どの時点で不安になりますか?
説明のあと、納得してもらえるのはどの情報ですか?
担当者が必ず確認している条件は何ですか?
仕事がうまく進む案件には、どんな共通点がありますか?
公開できる範囲で、誤解を避けるために言うべきことは何ですか?
得られた回答は、誰か一人の体験談として盛り込むのではなく、複数の話に共通する判断基準として整理します。これなら、機密情報を避けながら、読み手にとって実務的な内容になります。
予算とスケジュールは「金額」より先に条件をそろえる
見積もりを比べるとき、最初に総額だけを見ると判断を誤りやすくなります。企画、撮影、編集、字幕、図版、音楽、修正、二次利用の範囲が違えば、同じ価格帯でも中身は異なります。企画書には、希望額だけでなく、比較するための条件を残します。
工程 | 先に確認すること | 後で起きやすい手戻り |
|---|---|---|
企画 | 目的、必須メッセージ、決定者 | 撮影後に構成をやり直す |
撮影 | 場所、出演者、必要カット、不可情報 | 追加撮影・素材不足 |
編集 | 本数、尺、字幕、図版、修正の窓口 | コメントが分散して修正が長引く |
運用 | 掲載先、短尺展開、使用期間、納品形式 | 公開後に再編集や権利確認が必要になる |
会議でそのまま使えるチェックリスト
動画の目的を「視聴後の行動」で一文にできる。
視聴者の属性だけでなく、見る場面と時間を説明できる。
必ず伝える内容と、今回扱わない内容を分けている。
事実確認をする担当者と、最終決定者が決まっている。
出演者・場所・素材・公開不可情報を撮影前に確認する。
修正は一つの窓口に集約し、期限と優先順位を付ける。
掲載先と二次利用の予定を、発注前に書き出している。
公開後に見る数値と、見直す日を決めている。
つまずきやすい場面と、会議での整え方
場面1:「全部入れたい」で構成が決まらない
情報を絞ることは、価値を減らすことではありません。「今回の目的に直接必要か」「別ページに置いた方が読み手に親切か」で判断します。会議では「この情報は、視聴後の行動にどうつながりますか?」と問い直すと、優先順位をつけやすくなります。
場面2:確認者が多く、修正が終わらない
全員から直接コメントをもらうと、正反対の指示が出ます。意見を出す人と、最終的に決める人を分けてください。修正依頼は「どの時間の」「何を」「なぜ」「どう変えたいか」の四点を一つの文書にまとめます。
場面3:公開したあとに使い道がなくなる
本編だけで終わらせず、サイト、営業資料、説明会、短尺動画など、使う場面を企画段階で洗い出します。将来使う可能性があるなら、撮影時に短尺用の独立カットを残し、素材と権利の条件を記録します。
よくある質問
企画書は何ページ必要ですか?
最初は、目的・視聴者・構成・制作条件を一枚にまとめた企画メモでも始められます。関係者が増えるほど、確認事項と決定者を明記していきます。枚数より、判断に必要な前提が抜けていないことが重要です。
動画の長さはどう決めますか?
長さだけで決めず、掲載先と視聴場面から逆算します。初めて見る人向けには要点を短く、営業担当の説明と組み合わせるなら不安を解消する情報を増やします。一本に詰め込まず、目的別に分ける設計も有効です。
企画書の内容は誰が最終決定すべきですか?
目的と事実の責任は発注側が持ち、視聴体験としての構成は制作側と一緒に考えます。最終決定者をあらかじめ一人決め、事実確認者とは役割を分けると進行が安定します。
まとめ:企画書は、動画の前に社内の迷いを減らす資料
よい企画書は、映像の見た目を決めるだけではありません。視聴者、目的、必須情報、確認体制、公開後の活用を一つにつなげ、関係者が同じ基準で判断できる状態をつくります。次の会議では、まず「誰に、どんな行動をしてほしいのか」と問いかけてください。そこから、作るべき動画の輪郭が具体的になります。
そのままコピペできる|制作会社への依頼文テンプレート
初回の問い合わせでは、情報を盛り込みすぎる必要はありません。下の項目を埋めて送れば、制作会社が確認すべき前提を把握しやすくなり、提案や見積もりの比較もしやすくなります。
コピペ前に置き換える項目
ご相談の背景:なぜ今、動画を検討しているのか
目的:視聴後に相手にどんな行動をしてほしいか
視聴者:誰が、どの場面で見るのか
掲載先:Webサイト、営業資料、採用ページ、SNSなど
希望時期:公開希望日と撮影可能日
比較条件:企画・撮影・編集・字幕・修正・二次利用の範囲
そのまま送れる依頼文
件名:動画制作のご相談(【会社名】)
【制作会社名】 ご担当者様
お世話になります。【会社名】の【氏名】です。動画制作についてご相談したく、ご連絡しました。
■ ご相談の背景
【なぜ今、動画を検討しているのか。現状の課題や、きっかけを記載】
■ 目的
【動画を見た方に、どのような理解・行動をしてほしいかを一文で記載】
■ 視聴者・掲載先
視聴者:【例:初回商談前の担当者/採用候補者】
掲載先:【例:Webサイト、営業資料、採用ページ、SNS】
■ お願いしたいこと
企画・構成、撮影、編集、字幕、短尺展開、二次利用の条件が分かる提案と見積もりをお願いします。前提が不足している場合は、金額の前に確認事項をご提示ください。
なお、顧客名、未公開の数値、個別案件に関する情報は共有できません。公開可能な情報を前提にご提案をお願いします。
どうぞよろしくお願いいたします。
そのまま送れる依頼文(完成版)
下記は、依頼の背景から見積もりで確認したい範囲まで、制作会社が判断しやすい順番でまとめた文面です。
件名:動画制作に関するご相談(【会社名】)
【制作会社名】 ご担当者様
お世話になっております。【会社名】の【部署名・氏名】です。
現在、【動画制作を検討している背景・解決したい課題】を目的に、動画制作を検討しております。
まずは下記の条件で、企画・制作の進め方と概算のお見積もりをご相談できますでしょうか。
■ 動画で実現したいこと
【例:初回商談前の担当者に提供価値を理解してもらい、相談内容を整理してもらう】
■ 想定する視聴者・利用場面
視聴者:【例:初回商談前の担当者/採用候補者】
利用場面:【例:Webサイト、営業資料、採用ページ、SNS】
■ 現時点で想定している内容
【例:会社やサービスの紹介、社員インタビュー、業務風景など。未定の場合は「企画から相談したい」と記載】
■ ご提案・お見積もりで確認したいこと
目的に合った構成・表現方法のご提案
概算費用と、費用に含まれる範囲
想定スケジュールと、当社側で必要となる準備
撮影・編集・字幕・修正の対応範囲
納品形式と、短尺版など二次利用の可否
現時点で情報が不足している場合は、最初の打ち合わせで確認すべき項目をご教示ください。なお、顧客名、未公開の数値、個別案件に関する情報は共有できません。公開可能な情報を前提にご提案をお願いいたします。
お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。




